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生薬の加工 生薬は、摘み取ったり掘り出したりしたそのままで使えるわけではない。泥を落とすことや日干しにすることなども含めると、何らかの加工を行わなければ使用できない生薬がほとんどである。 1.加工の目的 (1)薬剤として不要な部分を除去する 収穫したばかりの薬草には、泥、枯れ葉、他の植物、虫などの不要物が付着している。また、全草を用いる生薬は稀で、大多数の植物生薬では、薬効成分の多い一部のみが使われ、他の部分は廃棄または薬用以外の用途に利用される。このように、不純物を可能な限り減らし、厳密な計量に耐えるようにしないと、生薬に含まれる薬効成分の量が推測できず、結果として、処方という行為自体が意味を成さないことになる。 (2)長期保存 薬草の組織に水分が含まれていると、重量や容積が大きく、品質が安定せず、また腐敗やカビが発生しやすい。このままでは、遠隔地に出荷することはできない。この問題へのもっとも原始的な対処法は、天日に干すことである。含まれている酵素によって、収穫すると薬効成分が崩壊してしまう生薬もある。このようなものは、収穫したら速やかに熱を加え、酵素を失活させなくてはならない(この点については、緑茶や紅茶の製法についても参照されたい)。また、長期保存には、除去しきれなかった昆虫、微生物などを殺す加工も必要である。 (3)成分を変化させる 生薬によっては、成分そのものが、収穫したままでの使用に耐えないこともある。附子など猛毒のものは、弱毒処理を行わなければ危険きわまりない。巴豆の種子は大量の油脂を含むため、そのまま投与すると激しい下痢を起こしてしまうので、ぎりぎりまで油を絞ったかすを用いなければならない。また、地黄のように、生のものと加工されたものに、別々の薬効を期待する生薬も存在する。 (4)抽出しやすくする 貝殻や化石、鉱物などは、そのほとんどが固く、溶けにくいため、なんらかの加工を行い、溶媒(水とは限らない)に溶けやすく、人体に吸収しやすくする必要がある。細かく砕いたり、加熱して組織を壊したり、薬品に漬け込んだりすることが行われている。 2.加工の方法 (1)機械的な方法 選薬(せんやく):生薬として必要のない部分を取り除く前処理。 粉砕(ふんさい):搗き潰したり、磨り潰したりする。 切製(せっせい: 規格の大きさに切断する。 (2)火を使う方法 ?(わい):泥団子か練った小麦粉で包み、熱灰の中で加熱する。 煆(たん):るつぼに入れて焼き、脆くする。 炮(ほう):鉄の鍋で黄色くなるまで、あるいは破裂するまでから煎りする。 炒(しゃ):炒める。 炙(しゃく): 薬物を液体の補助材料(酒、塩水、蜂蜜など)と一緒に炒め、補助材料をしみこ ませる。 ??(こうこう):炙り焼き。 焙(ばい):とろ火で乾燥させる (3) 水を使う方法 洗(せん):水洗い。 漂(ひょう):水にさらして不純物を除去する。 泡(ほう):形を整えるための前加工として、水に浸して柔らかくする。 潤(じゅん):霧を吹く。 水飛(すいひ): 水簸とも書く。細かく研磨してから水で洗い、沈殿させる。 (4) 水と火を使う方法 蒸(じょう):蒸す。水以外の液体で蒸すこともある。 煮(しゃ):煮る。 茹(じょ):ゆでる。 淬(すい):赤熱するまで焼き、水か酢で急冷する。 (5)その他の方法 発芽(はつが): 種子に水分を与え、芽の状態にまで育てる。 発酵(はっこう):温度や湿度を管理して、微生物を繁殖させる。 製霜(せいそう):油を絞り、細かくする(巴豆など)。 |